歯医者では誰でも差し歯が可能と思われているかもしれませんが、あなたの口の状況によっては差し歯ができない場合もあります。どんな時かお伝えします。

差し歯はできないと伝えている医者の様子

歯は歯茎から見えている部分を歯冠部、歯茎の中に隠れている部分を歯根部といいます。
差し歯は、この歯根部が残っていることが前提で行われる修復方法です。
歯根膜炎など歯根部に病気があり、治療が必要な場合はそれを終わらせた後、残された歯根部を土台として、メタルコアとよばれる突起のある被せ物をつくり、レジンやセラミックなどを使った歯冠部も作成し、歯冠部分には突起に差し込めるような穴をつくっておき、歯科用の接着材料を用いてくっつけます。
この方法でつくられたのが歯冠継続歯、いわゆる差し歯です。

差し歯は歯茎に歯を差し込むと誤解している人もいますが、この作成方法からもわかるように、差し歯は土台となる歯根部がなければ作れないことになります。
抜歯をするということは土台となる部分がないのですから、差し歯は不可能だとわかるでしょう。

また、かつては歯冠部の修復方法として用いられていた歯冠継続歯ですが、歯根破折といって、土台部分の歯の根の部分が折れやすいという欠点があり、平成18年の診療報酬改定から保険適用から外されました。
歯の根の部分が折れると、結局は抜歯をするよりほかないからです。
これでは二度手間になってしまいます。
このことにより、歯医者で差し歯を行うところはあまりありません。
ご年配の方の場合、ご自身や周囲が差し歯の経験があると抜歯をした人に差し歯は簡単だから作ってもらえと気安く話すかもしれませんが、それは大きな誤解です。

抜歯後の治療法ですが、保険適用でできるのはブリッジか義歯になります。
ブリッジの仕組みは抜けた歯の部分にダミーを置き、その前後の歯はそのダミーの支えとなります。
ダミーの支えとなる歯を支台歯といいます。
支台歯に冠を被せ、ダミーと冠が一体となった金属の被せ物をつくり装着します。
取り外しはできず、強度の関係からどの歯にもできるわけではありません。
義歯は1本義歯の場合は鉤と呼ばれるひっかけ金具をつけ、義歯が入る歯の前後の歯に金具をひっかけることで安定させます。
こちらは取り外しができます。

ブリッジの場合、強度以外に審美性に難点があります。
前歯にかかるものを除いては保険適用となるのは、原則、金銀パラジウム合金で作った銀色のもので、銀歯が連なっている印象を与えてしまいます。
1本義歯に関しては、人工の白い歯とピンクの歯茎部分があり、一見よさそうに見えますが、ひっかけ金具は歯の位置によっては見えてしまいます。

保険適用外のものでは、審美性にも優れた修復方法があります。
ただ、保険がきかないのでそれなりにお金がかかります。
保険適用外の仕組みも理解したうえで、差し歯はできないのですから、それ以外の方法でご自身にあったものを選んでください。

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